2025年03月13日

読書

思うところあって
末期のすい臓がんで余命宣告を受けた
お2人の本を買って読みました。

『52歳記者のがん日記』(橋本佳周/著)
『エンドロール!末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論』(叶井俊太郎/著)

完全にネタバレです。
これらの本を読みたい人は、ここで止めてください。

読書


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橋本さんの本は2022年3月、
叶井さんの本は2023年11月の発行ですが、
現時点ではどちらも亡くなられています。

両方を立て続けに読んで(わざとそうしたのですが)、
余命宣告を受けてからの生き様というのは
人によってこれほど違うのかと
ある種、衝撃を受けました。

橋本さんは、この病気の最期がどうなるのかを
きちんと理解し、ある程度受け入れながらも、
奇跡を願って医師との二人三脚で標準治療を重ね、
その時々の検査結果に一喜一憂したり
仲間とのバンド活動を楽しんだりします。
そして着々と迫る死への絶望と、
時おり見えるひと筋の希望の間で
心が乱れ、揺れ動きながらも
一日一日を大切に生きている日々を
日記の体裁でていねいに描いています。
この本はおそらく、同じ病に罹った人にとって、
いや、他のがんに罹った人にとっても
とんでもなく参考になる本だと思いました。
正直泣けました。

一方、叶井さんはというと、かなり型破りです。
抗がん剤治療をして、がんを小さくしたうえで
手術で患部を摘出するという医師からの提案も、
20パーセントという成功率の低さを聞いて
標準治療を固辞し、在宅のまま緩和ケアへ入ります。
死ぬまでにやりたいと考える仕事に
前倒しで取り組みながら、
これまでにお世話になった友人や仕事仲間と会い、
語らった様子を本著でまとめています。
正直な話、悲壮感はいっさい無く、
「ほんとに死ぬんかい?」と思うほど
屈託なく談笑を重ねています。
こういう生き方?死に方?もアリだなと思わせる、
爽快感すら感じさせる本だと思います。
ただ、叶井さんがあまりに浮世離れしていて
のめり込んで読むことはできなかったです。
闘病についてもほとんど書いてありませんし。

ただ、どちらにも共通するのは、
しっかりと自分を見つめて運命を受け入れ、
自分で自分に合った生き方死に方を選び、
決して他人まかせにしていないという点でした。
そして「ほぼ確定した死期までにどう生きるか」を
描くことで、生と死は表裏一体なんだという
考えてみれば当たり前のことを
教えてくれているような気がします。

昨年から今年にかけて
がん闘病にテーマを絞って、
いろいろ読んでいるのですが、
私自身は、自分の最期を考えることをさぼってきたので、
なかなかヘビーな読後感を味わっているところです。

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Posted by ねた at 23:04│Comments(0)読書
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